ノウハウ 2024/5/7
株式譲渡の契約書のひな形や印紙の必要性を解説
事業の再構築で株式譲渡を検討する場合、手続きやスケジュールが気になりますよね。
本記事では、株式譲渡には会社法に規定されている手続きが必要であるため、どのようなスケジュールに沿う必要があるかをご紹介します。
株式譲渡についての基本を知りたい方は「株式譲渡とは?意味と流れと制限と類語との違いを解説」をご覧ください。
CONTENTS
株式譲渡契約書とは
株式譲渡契約書とは、株主が保有する株式を、別の会社または個人に譲渡する際に締結する契約書類を指します。
株式譲渡契約書は、英語では「Stock Transfer Agreement (STA)」あるいは「Stock Purchase Agreement(SPA)」と表現します。
個人で株式譲渡契約書を結ぶ場合、株式の売買による株式と現金の交換を保証する目的で慣例的に作成します。
一方、会社間で株式譲渡契約を結ぶ場合、双方の事業の再構築を目的として作成し、帳簿書類として7年間保管する法的義務があります。
参照:No.5930 帳簿書類等の保存期間|国税庁
株式を譲渡する場合、次の流れで進めます。
- 株式譲渡の決議(*譲渡制限株式の場合は定款の定めた承認決議が別途必要あり)
- 株式譲渡契約の締結
- 決済手続き(*有償譲渡の場合は株式の対価を支払う必要あり)
- 株式発行会社へ株主名簿の書き換え請求
参照:会社法 第三節 株式の譲渡等 第二款 株式の譲渡に係る承認手続|e-Gov
株式譲渡の手続きや必要書類について詳しく知りたい方は「株式譲渡の手続きと必要書類は?無償と譲渡制限株式のケースも解説」をご覧ください。
株式譲渡契約書のひな形
法令上、契約書の保管義務は定められていても、会社間の株式譲渡契約書に書式の指定はありません。
株式譲渡の契約内容がわかるよう、最低限、次の内容を記載する必要があります。
- 売る側の譲渡会社と、買う側の譲受会社の名前・住所・代表取締役の氏名
- 譲渡する株式の数・種類・価格
- 株式の譲渡日
- 株式譲渡の対価(支払方法や支払期限含む)
また、株式譲渡契約書は、印紙税のかかる「課税文書」ではないため、原則、収入印紙を貼付する必要がありません。
参照:印紙税法 第四条(課税文書の作成とみなす場合等)|e-Gov
ただし、株式譲渡の対価の前払いを行って、契約書に受領書の性質があるなど、収入印紙が必要なケースはあります。
電子契約で締結することで収入印紙が不要になるため、株式譲渡契約書の作成は、電子契約で進めるのがよいでしょう。
参照:電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律(電子帳簿保存法)|e-Gov
会社間で対価を支払って株式譲渡するケースの株式譲渡契約書のひな形は次のとおりです。
【株式譲渡契約書(対価あり)】
第1条(譲渡する株式)
譲渡会社〔会社名〕(以下「甲」という。)は、譲受会社〔会社名〕(以下「乙」という。)に対し、〔株式を発行する会社名〕の〔普通株式〕を00〔譲渡株式数〕株、譲渡するための契約(以下「本契約書」という。)を締結する。 第2条(株式の譲渡日) 甲は、〔株式の譲渡日〕に乙に株式を譲渡する。 第3条(株式譲渡の対価) 株式の譲渡価格は、000〔金額〕円とする。 乙から甲への対価は、指定の口座に〔支払い期限〕までに振り込むものとする。 第4条(損害賠償) 甲および乙は、本契約についての契約違反または自己の責に帰すべき事由により相手方に損害を与えたときは、当該損害を賠償するものとする。 第5条(規定外事項) 本契約に定めのない事項および各条項の内容解釈に疑義が生じた場合、甲乙協議のうえ、誠意を持って解決を図るものとする。 第6条(紛争解決) 本契約書に規定のない事項又は契約上の疑義については、両当事者間で誠意をもって協議決定ないしは解決するものとする。万が一協議の整わざる場合、〔管轄裁判所〕をもって、第一審の専属的合意管轄裁判所とする。 以上、本契約書の成立を証するため、本契約書の電磁的記録を作成し、譲渡会社と譲受会社が合意の後で署名し、各自その電磁的記録を保管する。 〔契約書締結日〕 〔譲渡会社の代表取締役の電子署名〕〕 〔譲受会社の代表取締役の電子署名〕 |
会社間で株式を無償譲渡するケースの株式譲渡契約書のひな形は、次のとおりです。
【株式無償譲渡契約書】
第1条(譲渡する株式)
譲渡会社〔会社名〕(以下「甲」という。)は、譲受会社〔会社名〕(以下「乙」という。)に対し、〔株式を発行する会社名〕の〔普通株式〕を00〔譲渡株式数〕株を無償で譲渡するための契約(以下「本契約書」という。)を締結する。 第2条(株式の譲渡日) 甲は、〔株式の譲渡日〕に乙に株式を譲渡する。 第3条(損害賠償) 甲および乙は、本契約についての契約違反または自己の責に帰すべき事由により相手方に損害を与えたときは、当該損害を賠償するものとする。 第4条(規定外事項) 本契約に定めのない事項および各条項の内容解釈に疑義が生じた場合、甲乙協議のうえ、誠意を持って解決を図るものとする。 第5条(紛争解決) 本契約書に規定のない事項又は契約上の疑義については、両当事者間で誠意をもって協議決定ないしは解決するものとする。万が一協議の整わざる場合、〔管轄裁判所〕をもって、第一審の専属的合意管轄裁判所とする。 以上、本契約書の成立を証するため、本契約書の電磁的記録を作成し、譲渡会社と譲受会社が合意の後で署名し、各自その電磁的記録を保管する。 〔契約書締結日〕 〔譲渡会社の代表取締役の電子署名〕〕 〔譲受会社の代表取締役の電子署名〕 |
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